法律は嘘とお金の味方です。3 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 / 永瀬さらさ
幼馴染はいい……(初心に帰った感想)
勝手に婚姻届を出されていた(と主張されている)お話と、ご近所トラブルのお話と、草司の過去にも関わる放火事件に関係しそうな放火犯(出所済み)とプライバシーのお話の三本立て。
相変わらずのどこかなんとなくの後味の悪さがあり(今回は特に1話目)、これが大人の決着の付け方ってもんよね~というしんみりさというか、まあ全部が全部スッキリとはいかないですよねぇという世知辛さを感じてしまいます。後味悪いとは言いながら、吾妻弁護士が「そんな卑怯な」とも突っ込みたくなるような方法(のときもある)でオトシマエはつけているので、ストレスはたまらないんですけどね。相変わらず吾妻弁護士無双で面白いです。
新しい敵(吾妻法律事務所の正面にできた横文字事務所:とりあえず横文字言っとけみたいな発言の数々が面白かった)やら、やっぱりちょっと和む草司の自称ライバルなポンコツ検察さんなど、悪役も面白く(横文字の人は(今の所)踏み台にもならない感じでしたが)笑えるところもよかったです。
もう一つよかったのは、つぐみがぐるぐる悩んで若干アウトな行動をとってしまったものの、最終的に草司やケイに手のひらで転がされていたところ。やっぱり高校生と社会人の差は大きい。年の差の醍醐味……そしてなんのかんのでフォローに回る草司がいい……(ちょろい読者)。
今回は最後の最後にすごい隠し玉が出てきてびっくりしておりました。察しの悪い読者なのでその可能性は微塵も考えてなかったです。これがミスリードならそれはそれで面白いんですが、どうなるのかなぁ……。
ということで、なんとなく当初より柔らかくなっているような気がしなくもない草司とつぐみの「幼馴染」感にニヤニヤしつつ、草司の抱える事情がどう転がっていくのかの予想は全くつかない察しの悪い(というか自分で考えるより作者さんの回答を読みたい)読者なので続きも楽しみです。さすがに今巻最後のアレから、続きがないとは言わせない……。
法律は嘘とお金の味方です。3 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌
永瀬さらさ/おかざきおか
集英社オレンジ文庫(2020.08)
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