十三歳の誕生日、皇后になりました。 / 石田リンネ

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行石田リンネ

祖父の期待を一身に背負い、十三歳の誕生日当日に赤奏国の後宮入りを願い出た莉杏だが、彼女の申し入れを受けたのは、同日に帝位を簒奪した暁月だった。ちょうどよくその場に居合わせたため暁月に皇后として選ばれた莉杏は、人手不足の赤奏国で、皇后の勤めをはたすべくはりきる莉杏だが、暁月は莉杏を子供扱いしていた。

莉杏がかわいかった。

先月最新刊の4巻が刊行されましたが、これは2年前の1冊目の感想です(開き直り)。

茉莉花官吏伝のスピンオフ、本編(2冊目と)3・4冊目で茉莉花を振り回した暁月が、皇位についた直後の混乱した様子を莉杏目線で知ることができる1冊でした。本編でなんでこの国にこんなに人材がいないのだろう(さすがにいなさすぎでは?)、というような疑問のようなものを(少々説明されていたとはいえ)感じていたのですが、信頼できる若手はいるが、まだ能力が追いついていない状態で創業したてのベンチャー企業(※体験したことないので想像)みたいなもんかと納得しました。

「その場にいた」という理由で皇后になってしまった莉杏が、暁月のために皇后として考えて勉強して行動して成長していく姿がとてもかわいくて頼りがいがあって楽しかったです。ちょっとバランスが崩れれば小賢しい、になってしまうような立ち位置ですが、そんな兆候まったくなく、かわいい!かしこい!将来有望!と手放しで応援できるのはいい。ストレスフリー。暁月に出された謎(宿題)を一つ一つ解いていく姿が頼もしかったです。
湯たんぽ代わりにしたり、寝台を温めておくのが皇后の仕事とうまいことごまかしたりしつつ、なんのかんのと莉杏を大事にしている暁月もよかったです。

次の巻以降は、本編の裏事情が語られるような位置づけらしいのでこちらも随時読んでいこうと思います。楽しみ。

十三歳の誕生日、皇后になりました。
石田リンネ/Izumi
ビーズログ文庫(2018.10)
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