以前事件に巻き込まれて友人となった隣国の公子ルシオと王宮で再会したマリエルは、年末のイベントを前に華やぐ街をルシオにも楽しんでもらおうとその人脈を駆使してルシオが安全に街歩きができる状況を整えた。一方、ルシオが他国で知己を得ることをよく思わないルシオの故国の面々は、ルシオをマリエルから遠ざけるためにマリエルに対して小細工を弄してきた。
折に触れてダダ甘なシメオン様にお腹いっぱいだよ……(褒めてます)
シリーズ9冊目は年末のイベントに浮かれる街を舞台に「ちょっとした権力闘争の前哨戦」のような事件を描いたお話でした。権力闘争、といっても相手が小物も小物だったので落ち着くところに落ち着いたというか、ここから次はどう展開するのかなーといったお話だったのですが。
マリエル、それは罠だ!(読者側の視点で考えると)誰がどう考えても罠だ!という事件ではあったのですが、マリエルがちゃんと対策を講じた上で罠(かもしれない)の誘いに乗り込んでいくところは少しホッとしました。成長してる、すごい成長してる!かなり際どいところはあったものの、はらはらな状況も結構すぐに安心して読める展開になって((キツめの展開が少々きつい今日このごろなので))、心穏やかに読めるのはいいことだなーとほっこりしてしまいました。
あとはマリエルからとあるものをせしめたリュタン氏が、シリーズ史上一番可愛くてよかったです。
今回は全体に渡ってシメオン様のマリエルへのダダ漏れぶりが恐ろしく(楽しい)、まあこれだと周りからしてみれば無になるよなー(勝手にやってろ的な)というようなところが楽しかったり、今までの大方の主要登場人物に登場の機会があってなんとなく楽しかったりと、期待を裏切らない鉄板の面白さがあって良かったです。
まだまだ続きも読みたいので続刊も楽しみにしています。
マリエル・クララックの祝祭
桃春花/まろ
アイリスNEO(2022.1)
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