九月文

嫁入り途中で時を遡ってしまったあこは、嫁ぎ先予定の井伊家にやっかになりつつも元に戻る方法を探していた。そんな折り、次期将軍秀忠の御成りが近づき準備に追われる井伊家。そして徳川の世を混乱におとしめようとする亡者の罠も張り巡らされ……

嫁入り途中に時の狭間に迷い込み元いた時間に戻れない”あこ”とその一行。婚約者である直継はあこが元いた時間に戻るための手段を探すといい、あこはそれに従い直継の屋敷に引き続き滞在することになる。しかし、「いないはずの」あこの存在のおかげでもののけが近づきやすい状況になっているため、あこは直継の腹心の屋敷に移動することになるのだが……

大名・鳥居家の姫である「あこ」は、三度延期になった婚儀を今度こそ成功させるために嫁ぎ先である井伊家の領地である佐和山にお忍びで向かう。佐和山城で出会った許嫁の直継は予想外の美形だったが、あこに今すぐ江戸に帰れと告げる。江戸に帰るわけにはいかないあこは、なんとか佐和山城にとどまろうとするが、佐和山に入ってから感じる妙な違和感の正体を知る。