ソフィアの宝石―乙女は、謳う― / 渡海奈穂
身寄りを亡くした庶民育ちの元気な女の子が伯父の公爵に引き取られ、貴族社会の中でたくましく生活する話に反体制派の陰謀が見え隠れ、の第2巻。
お友だち関係では前回はちょっと物足りないかなぁと思っていた女学院生活が大々的にクローズアップされ、なんだか楽しかったです。ある種珍獣のようにもてはやされる一方でリディアを認めない一派もあり。そしてその一派(のボス)はことある毎にリディアに突っかかってきて……とお約束のようなこの微妙な関係が楽しかったです。そして、ことあるごとにリディアとつるんでいるジルとの関係も良かったです。ジルの思いはなかなか届かなそうですが(そして、かなり前途多難そう)、いつかあの頃みたいになればいいのに、と素直に応援したくなります。
ご家族関係では、地味に公爵がいい味を出しています。リディアの庇護者であり最大の理解者といったところでしょうか?従姉との和解はまだまだ時間がかかりそうですが、仲良くなったらよいコンビになると思うのだけど。ラブコメ(?)パートの長男スレイとの一進一退の関係も非常にツボ。通訳がないとかなりひねくれているスレイですが、純粋に二人の仲の攻防が気になります。
そして、陰謀関係はいろいろときな臭くなってきましたね。途中「歌ったら絶対に目つけられるから止めといた方が」と思わず突っ込みたくなりましたが(しかし、そうなると話が進まない)案の定の展開で思わずニヤリ。王子vs反体制派という構図になるような感じですが、こちらも続きが楽しみです。
ソフィアの宝石―乙女は、謳う―
渡海奈穂/笛吹りな(イラスト)
ISBN:978-4-7577-3844-7
B’s-LOG文庫(2007.11)
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