紅牙のルビーウルフ6 自由の風が吹く夜明け / 淡路帆希

本の感想, 作者名 あ行淡路帆希

陸路から帰国を目指すルビーウルフ一行は、途中砂嵐に遭いはぐれてしまい、ルビーウルフはコロナード王国のわがまま王女エミリエンヌと二人で仲間との合流を目指すことになる。途中立ち寄ったエンテンデールの街で武術大会が開かれることを知り、路銀を確保するためにその大会に出場することにしたルビーウルフだが、彼女の前に立ちはだかったのは砂嵐ではぐれてしまったジェイドだった。


ルビーウルフの最終巻。いやはやこれはすばらしい最終巻でありました。
デビュー作以来おもしろいんだけどラブコメ的要素以外はなんかパンチが足りないなぁと失礼ながら少々不完全燃焼な部分を感じてしまっていたシリーズだったんですが、それが最後にして一気にすばらしい展開に。個人的お気に入りシリーズリストに文句なくノミネートです。この最終巻を読むためにこのシリーズがあったと言っても過言ではないくらいにすばらしいエンディングでした。

世界の成り立ちの秘密からルビーとジェイドの関係に決着がつくなど、必要な部分はすべてカバーされていました。若干駆け足気味かなぁと感じてしまいましたが、そこらへんは些細な問題。
ジェイドへの気持ちをごまかしていたことに気付き、そしてそれに正面向いて立ち向かおうとするルビーのかっこよさが光りました。勘違いというか勇み足で一歩踏み出した感はありますが、いやそれでもやっぱりいいですねぇ。
そして今回は前回まであんまり存在感がなかった(ですよね、ちょっと記憶があやふや)わがまま王女エミリエンヌ姫のかわいらしさが際だったお話でもありました。一見わがまま王女ですが時間とともにルビーの癒しになっていくというこの二人の何ともいえない女の友情(?)がよかったです。王女としてのプライドと女性としてのかわいらしさが同居する素敵なお姫様でした。

最後にはルビーたち以外にもミレリーナやヘリオトープたちのその後もかいま見られて大変満足。こういうエピローグ大好きだなぁ。このシリーズを追いかけることができてとてもしあわせです。

紅牙のルビーウルフ Tinytales 1 クローバーに願いを

img紅牙のルビーウルフ6 自由の風が吹く夜明け
淡路帆希/椎名優(イラスト)
富士見ファンタジア文庫(2008.01)
ISBN:978-4-8291-3251-7
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