彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく / 雪乃紗衣

本の感想, 作者名 や~わ行・他雪乃紗衣

藍州から帰還した一行にもたらされたのは、吏部侍郎の李絳攸が投獄されたという知らせだった。絳攸を救おうとする秀麗は調べを進める内に絳攸を追い落とそうとする御史台長官と清雅の真の目的に気付く。


楸英編in藍州に引き続き、絳攸編in王都。劉輝が「花」の二人を真の意味で手に入れることができるか、という内容の本作ですがなんか非常に辛かったですねぇ。何かを手に入れるには何かをあきらめなければいけないという現実を突きつけられ、選ぶことのやるせなさが辛かったです。
秀麗と絳攸の美しい師弟愛もよかったのですが(もはや王様は空気)、絳攸、黎深、そして百合姫の親子関係がとても素敵だなぁと思います。端々に語られる黎深の絳攸へのひねくれた愛情がなんともおじさまらしくてすばらしい。そして今回も秀麗から逃げまくっていた黎深おじさまですが、秀麗にはおじさまの愛は全く伝わらず不憫すぎて涙を誘います。前回の短編と含めて、今回も黎深おじさま好きにはたまらない一作でした。

王陣営は揺るぎのない腹心をようやく得ることができたのはいいものの、状況はまだまだ芳しくはありません。そして癒しキャラだと思っていたうーさままでもがシリアスモードに突入されてしまってどこに癒しを求めればいいのか……と思っていたら最近居場所がない清蘭がだんだん違う意味での癒しキャラになってきている事実に愕然とします。初期の頃のなんかようわからんけどうまいこと行ってみんなハッピー!という展開が非常に好きだったので最近のシリアス一直線は辛いなあぁ。王様の恋路もどう考えてもうまくいきそうになくて辛いなぁ。物語の向かうべき道が何となく見えてきた感もありますし、着地点ももうそろそろ近いのかなぁと思いつつ続きもそこはかとなく楽しみにしたいと思います。

img彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく
雪乃紗衣/由羅カイリ
角川ビーンズ文庫(2008.05)
ISBN:978-4-04-449916-7
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