RDG レッドデータガール はじめてのお使い / 荻原規子

本の感想, 作者名 あ行荻原規子

山伏の修験場の紀伊山中にある神社の一人娘として、祖父と二人で平凡に目立たず地味に中学生活を送っていた鈴原泉水子は、中学三年生になり唐突に別居中の父より東京の高校への進学を勧められる。地元の高校に行く決意を崩さない泉水子だが、そんな彼女の前に泉水子の父の友人で彼女の後見人でもある相楽が泉水子を説得しににやってくる。しかも相楽は泉水子と同い年の自分の息子・深行を泉水子の下僕だと言い放つ。両親や相楽の謎の行動は泉水子の知らない彼女の隠された秘密にあるらしいのだが……


今年の7月に発売された荻原さんの新シリーズをようやく読みました。タイトルとサブタイトルと表紙からどんな話なのかうまく想像できなかったのですが、読んでいくうちになるほど、と。絶滅危惧種に近い「女の子」が地元の暮らしにしがみつきたいと思う一方で、自分の預かりしれないところで何かが動いているのは嫌だと思うようになり、はじめて「都会」に足を踏み入れたりしていろいろ騒動が起こるお話。
うまくいえないんだけど、中学生くらいの子が抱える悶々とする自分への未来への不安とかそこら辺がやっぱりいいなぁと見守りたくなる心境です。泉水子の地元へ残りたいけど……という感情もとても分かる。でも、それを振り切って一歩を踏み出した彼女の強さが良かったです。そして、自分に自信のない泉水子にいらいらして態度がきつくなるけど、泉水子が前に踏み出したらそれを応援するという深行はとてもヒーローポジションだ。とても好物でございます。

「はじめてのお使い」で一歩踏み出した二人ですが、次は東京の高校編でしょうか?日本だけでは終わりそうにない旨のほのめかしもちらちらされており、どこまで話が広がるかが楽しみです。

imgRDG レッドデーターガール はじめてのお使い
荻原規子
角川書店 銀のさじ(2008.07)
ISBN:978-4-04-873849-1
bk1/amazon