光の精煉師ディオン 指揮官は明日を夢見る / 村田栞
キースが黒雷獣の他の部品を封じている場所に向かうはずだと予想したディオンたちは、ディオンの祖父や父と合流し、不毛の大地・ムスベルの地に向かう。
ディオンシリーズ第6巻目にして最終刊。タイトルにもあるようにキースがほぼメインとなっており、シリアスな所でも笑えるところでもすべていいところをかっさらっていくという……とてもおいしいキャラとなってしまいました。シリアスシーンはともかくラスト近くのあれは!キース中将の集大成はここに。
全ての伏線を回収した、そして希望に溢れたとても綺麗な最終話でした。こういうの好きだなぁ。いろいろうまくいきすぎだ!と思う点もたくさんあるんですが、後書きでも作者さんがきっぱり宣言されていますようにそういう点を楽しむ物語なので問題なし。
そして、密かに応援しているアマーリエ皇女が男前すぎてとても素敵でした。もうディオンなんでこれをずっとほっとくかなぁと思わずにいられません。ディオンや蒼い鷹に発破をかけたあのシーン、シリーズ中一・二を争う格好良いシーンだと思います。
戦後復興のまっただ中でたくましく生きる人たちの絆がよいですね。
固い友情で結ばれ、成長していく少年たち、それを見守る大人たち(キース中将とカイル大佐の友情もなかなか素敵)、謎のおっさんたちにとてもかわいい犬たち、憎めない頼りになるライバル、そして忘れてはいけないとてもかわいらしく芯の強い皇女さまといろんな要素がぎゅっと詰まったとても良いお話でした。地味ながらもやっぱり好きだなぁ。
光の精煉師ディオン 指揮官は明日を夢見る
村田栞/岩崎美奈子
角川ビーンズ文庫(2009.02)
ISBN:978-4-04-451010-7
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