女王家の華燭 / 葵木あんね

本の感想, 作者名 あ行葵木あんね

炎杳国は女王の髪から生じる不思議な炎『妃炎』で守られる女性主導の国。そんな炎杳国に攻め込み敗走した夜冗国は、和平の証として世継ぎの公主・宝蘭への公子の婿入りを求められる。婿入り公子として白羽の矢が立ったのは、夜冗国の中でも不吉な存在として邪険にされている宵夜。婚儀の場で宵雪の赤い瞳に目を奪われた宝蘭は、宵雪が炎杳国に馴染むよう心を砕くが……

うわ、甘っっっ!(ほめてます)

ルルル文庫の公式サイトで開催された「ルルルカップ」に投稿された作品の文庫化。中国風な世界を舞台に、はやりを逆手に取った「婿入り」モノのお話でした。主人公カップルやその腹心達のテンポの良い会話の連続が楽しかったです。

陰謀もあることはあるのですが、この物語は陰謀は二の次です。ちょっと考えるとあなたそれはないわって思ってしまう陰謀だったのですがそこは主題じゃないのでいいのです。
この物語の醍醐味は、「お互いに一目惚れしたのになかなか素直になれない公主、途中から何かが乗り移ったように甘い言葉を吐きまくる公子」のそれぞれの攻防をニヤニヤしながら見守ること。外で読むのには表情筋を若干引き締める必要があるレベルだった(ニヤニヤしそうで)。

公主が公子に見せる心遣いや、国を思う姿なんかも素敵でよい公主だなぁ、と思ったり、この公子のこの甘い言葉はどこからわき出てくるんだ!と感心したりと、少女小説はよいなぁと思ったひとときでした。

img女王家の華燭
葵木あんね/日野杏寿
小学館ルルル文庫(2010.05)
ISBN:978-4-09-452157-3
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