鏡の国の恋人たち / 山本瑤

本の感想, 作者名 や~わ行・他山本瑤

国王の命令により、「仲良くなる」ために北の離宮に二人っきりで閉じこめられることになったシリンとティファニー。なんのかんのと少しずつ距離を狭めるふたりであったが、離宮にあるとある鏡がティファニーの死んだはずの父親の幻影を映し出し……

心休まる場所がない、ルーファス王国。

強制イチャイチャ命令のおかげで、お供のものすら遠ざけられ仲良くすることを強要されるティファニーとシリン、受難のシリーズ第4巻。シリンへの想いは自覚しているもののそれを悟られるわけにはいかないとぎくしゃくするティファニーに、ティファニーに執着する感情の名前に気付きはじめたシリンにとりあえずゴロゴロしないとだめでした。

敵といいますか、相対する魔王の特性上どこに行っても心休まる暇がないのがこのシリーズのもつ独特の緊迫感ですよね。すぐそこに潜む闇が怖すぎます。しかし、ティファニーの明るさというか前向きさであんまりその闇を感じないところはすごいなぁと思ったり。
クインシーとニカの兄妹の何とも言えない微妙なコンビネーションが好きだったり、いい人の代表のようなシリンの弟君エディスを思わず応援したくなったりと、脇のキャラもそれぞれ魅力的。うまく収まったようで実はえらい問題を棚上げ中なので、続きも読まねば。シリンはさっさと素直になるといいと思います。

img鏡の国の恋人たち
山本瑤/明咲トウル
集英社コバルト文庫(2010.10)
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