ユニコーンの恋文 / 石和仙衣
魔法の鷹ノアが守護する<夢の平原>で花婿を待つ最後の乙女になったカタリアは、ひとり彼女を迎えに来てくれる青年を待っていた。そんなある日、平原にエルダーと名乗る無愛想な青年が迷い込む。すんなりと平原とカタリアの立ち位置を理解したエルダーだが、彼はカタリアを平原から連れ出すつもりはなく、ひとりで現実世界に帰ってしまう。これ以上待ってられないと平原から旅立つことを決めたカタリアは、自分の手で幸せになることを決意する。
これもまたよい少女小説でした!
「ギデオンの恋人」がとても良い少女小説だったので他のも!と手にとった「ユニコーンの恋文」、ギデオンに引き続き「魔法でしゃべる動物」を相棒に、今度は現代のアンゲリア王国でカタリアが幸せを探す物語でとてもよいものでした。まずは、行動力のあるヒロイン・カタリナがかわいくて素敵だなぁ、と。悩んで、動いて、そして気づくカタリナの様子が丁寧に描かれていて、なんでそこで素直にならないの!とやきもきしながら読んでいました。対するエルダーはエルダーで、不器用でうっとおしがりながらもなんのかんのとカタリナの世話をしちゃう所に不覚にももえまして、もとのエルダーに戻らないほうが好みだったのに、などという不謹慎な感想、を……すいません。
物語の鍵を握る「文」に、周囲の人物のサポート、そしてカタリアとエルダーのたどり着く先が本当によい少女小説でして……!よい物をよみました。
ユニコーンの恋文
石和仙衣/弥南せいら
講談社X文庫ホワイトハート(2011.8)
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