廃墟の片隅で春の詩を歌え2 雪降らすカナリア / 仲村つばき

本の感想, お気に入り, 作者名 な行仲村つばき

身を守るため、エタンの勧めでイルバスともゆかりのある常春の国・ニカヤに外交を兼ねてグレンとともに向かうことになったアデールは、前回の外交とは異なり、積極的に動いていた。ニカヤの王弟ユーリの案内でニカヤを知り、そしてニカヤで自分のなすべきことを再確認したアデールは、イルバスに戻り女王の許可のもと行動を起こす。

不穏すぎてぞくぞくしながら読んでました。

シリーズ全3巻の2冊目。不安定な国政は変わらずのイルバスと、豊かで安定した国のニカヤの対比が鮮やかな展開でした。もちろん、ニカヤはあそこまで安定するまでにいろいろあった上に、隣の芝は青く見えるというのも大きいかもしれませんが……。

アデールが自分の足で動き、自立して進めば進むほどグレンとの距離が広がっていくのが辛いなぁ。うまくいくかいかないかが薄氷を踏むような状況なのが(辛い展開が苦手なので)読んでいてしんどい[1] … Continue reading。もうグレンとは多分うまくいかんと思うので、そしてこのグレンが闇落ちしそうな感じなのがたぶんアデールが最後の覚醒(たぶんする)の契機になるような気もするので、もう成るように成れ!と途中でようやく悟りました。

ニカヤでのアデールの成長も読み応えがありましたが、終盤の女王のアレコレについては「なんだってー」と若干動揺しながら読んでいました。思っていたよりもこれは辛い暗い重い展開だわ……そして最終盤の、あの事件。これは一波乱どころか波乱の並が止まりそうにないので最終巻でどう決着をつけるのか、想像を超えたところにいきそうで楽しみです。

廃墟の片隅で春の詩を歌え2 雪降らすカナリア
仲村つばき/藤ヶ崎
集英社コバルト文庫(2020.01)
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References

1 主人公の色恋沙汰については、「当て馬」的なめちゃくちゃわかりやすい展開でない限りドロドロというかこじれてないほうが(ストレスなく)読めるので好き。好きなドロドロもあるにはあるんだけど、今回のグレンの縛り付けるタイプなのは苦手だなぁ……