とある飛空士への恋歌 / 犬村小六

本の感想, 作者名 あ行犬村小六

空の果てを目指す空を飛ぶ「島」イスラ。そんな国家を超えるプロジェクトに参加することになった飛空科の学生カルエル。革命によって両親である皇王夫妻を殺され、全てを失ったカルエルはイスラの菅区長であり、かの革命の旗印であったニナ・ヴィエントに復讐することを誓う。しかし、イスラの旅はカルエルに思いもよらない出会いをもたらした。

憎悪が入り乱れる恋物語の序章

前作がわりと胸キュンラブだった「とある飛空士」シリーズ。同じ世界を舞台に、次はロミジュリ的な恋物語を!という噂を聞いていて、どこら辺がロミジュリなんだろうなぁと思ったら最後の最後にきました。これは憎悪入り乱れるロミジュリ展開だ(……いや、でもロミジュリとは……違うと思う。状況の簡単な説明には使えるけどこれはロミジュリじゃないと今更主張しておく)。

正直申し上げて前作の細かいところ覚えてないんで国とかそうだっけ?というところが多いんですが、前作読んでなくても全く問題なし。第一印象「ラピュタ」の島で繰り広げられるであろう少年少女の恋物語の序章です。物語がほとんど動いてなくて、主人公のバックグラウンドの説明と、彼の義父と義姉妹のすばらしさが光ってました。性根の若干曲がった彼がここまで無事に育ったのもひとえにお姉ちゃんたちのおかげです。でも、主人公のひねくれ具合がどうも最後まで気に入らなかったのも事実です(残念ながら)。

物語が本格的に動き出すのは次巻以降を待て、という状況ですので、次もそこはかとなく楽しみにしておきたいと思います。

img とある飛空士への恋歌
犬村小六/森沢晴行
小学館ガガガ文庫(2009.02)
ISBN:978-4-09-451121-5
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