聖女が魔を抱く童話 葡萄の聖女の料理帖 / 長尾彩子

本の感想, 作者名 な行長尾彩子

改邪聖省の紅一点として葡萄酒や葡萄酒を使った料理により内から悪魔祓いをするアデリナは、落命後に生き返ったため悪魔憑きとされる第一王子エルヴィンの悪魔祓いのために彼の治める城の料理番として潜入する。早々にエルヴィンに目的がばれたアデリナであったが、エルヴィンに悪魔祓いのための料理を食べさせようと四苦八苦する。

ここへ来て告げ口うさぎの存在感が。

シリーズ3作目、1作目と2作目の間のお話。悪魔祓いのために王子様に近づくお嬢さんと、そのお嬢さんをからかいながらもだんだんとほだされていく王子様、呆れながら見守る精霊猫のクラウディアに、今回はいつも以上の存在感を醸し出す精霊の告げ口うさぎ、というようなお話でした。今までの告げ口うさぎは告げ口するだけだったのに今回は抱きまくらという地位を手に入れてるのがかわいかった……。

前作・前々作と同様に背景にあるのは結構重たい目のものがあるのに、今回は「絶対領域」とかでてきてだんだん軽くなってきているような気が……しておりますがまあ面白いのでいいや。あと、コバルト的にギリギリのラインを色々狙っているなぁ、という。今回の悪役さんは何か吹っ切れたくらいの悪役ぶりで、これまでは悪役がそれほど目立たないお話だったのでちょっと新鮮でした。

聖女が魔を抱く童話 葡萄の聖女の料理帖
長尾彩子/宵マチ
集英社コバルト文庫(2017.03)
amazon/honto/BOOKWALKER