帝都退魔伝 虚の姫宮と真陰陽師、そして仮公爵(下)/ 和泉統子

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行和泉統子

良夜の婚約者・ゆゐ子が起こした事件をなんとか収めた陽太たちだが、ゆゐ子がミアに陥れられたという怪文書が出回り、世論はミアたちに厳しい方向に流れようとしていた。ことを収めるために、陽太はミアと「鬼邑公爵との偽装婚約」を持ちかける。一方で、「鬼邑公爵」に尋常ならざる敵愾心を持つ良夜の父は、復讐を果たすための最終段階に入っていた。

一気に畳み掛ける種明かしがさすがだなぁという面白さでした。

架空和風ファンタジー上下巻の下巻、完結編+描き下ろしのその後のお話。上巻ではよくわからなかった黒幕から、色な人の思惑やら血縁関係がどどどんと明かされていった中盤以降はただただすごいなぁと感心しながら読んでおりました。親世代の確執が子世代できれいに昇華されるというのは読んでいて気持ちのいいもので良いですねぇ。親世代がなかなかにどろどろしていて、こちらはこちらで読んでみたいという好奇心もありますが。あれやこれや前作やらがいろいろつながっていって、おおお、と感心するしかなかったです。ちなみに、一番格好良かったのは陽太の義母様でしょうかね……いや、陽太も良夜もかっこよかったんですが、義母様最強でした。

ミアと陽太と良夜の三角関係については、こじれることも揉めることもモヤモヤすることも荒れることもなくさっぱりきれいに美しく丸く収まってこれまたすごい!と思いました。私の期待していた(笑)組み合わせとは違ったのですが、最後まで読むとこれ以外の選択はないわ……と納得。しかし、取り残された一人については、こう、なんといいますか最後まで背中に哀愁が漂い続けてる感が強いので幸せになってほしいです。

帝都退魔伝 虚の姫宮と真陰陽師、そして仮公爵(下)
和泉統子/高星麻子
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