亜夜子と時計塔のカーディアン 約束のチョコレート / 喜多みどり

本の感想, 作者名 か行喜多みどり

ロンドンに再び「切り裂きジャック」が現れ、容疑者として捕まったのは、レイの(自称)親友マーヴィスだった。マーヴィスの無罪を証明するため、レイはロンドンで手がかりを得ようとし、レイのファグである亜夜子も無理をいってレイとともに行動を共にする。しかし、校長はレイの捜査活動をよく思わず、これ以上の捜査を続けるのであれば退学という条件を出す。

面白くなってきたのに、なぁ……。

日本人の娘さんがイギリスの全寮制の学校に留学して、学校の主とも言うべきポジションの学生さんのファグになって事件を解決解決するなんとなくミステリー。レイの生い立ちの重要な部分にかかわる人が物語を引っ掻き回し、それに振り回されるレイやマーヴィス、そしてレイのファグとしてできることをしようとする亜夜子の奮闘のお話でした。物語も思わぬ展開を見せて話も大きくなって、いよいよここから!というところだったのですがこの巻で終わりというのはすごくもったいないように思いました。めっちゃおもしろそうじゃないですかこれ……国家転覆を狙う規模の話につながる物語とは思ってもなかったので、不意打ちで楽しさ倍増だったんですけどねぇ。

と、まあ堅い話はここらへんにしといて。思いもかけず亜夜子の言動に振り回されるレイが可愛かったような気がします。レイの思わせぶりな言動に赤面する亜夜子も可愛かったです。レイのわかりにくい友情も良かったですし、大人たちの不器用な優しさもよいものでした。こういうすれ違いってもどかしいのですが、収まるところに収まると読んでいて気持ちいのでいいですよねぇ……2巻で終わってしまったのがかえすがえすも残念……というか決着ついてなくて(悪い人たちの)俺達の戦いはこれからだ!的な締め方だったので、なにかの拍子に続きがひょこっとでないかなぁ、なんて……。

亜夜子と時計塔のカーディアン 約束のチョコレート
喜多みどり/サミヤマアガサ
角川ビーンズ文庫(2015.01)
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