逆転後宮物語(全4巻) / 芝原歌織

本の感想, 作者名 さ行芝原歌織

女王の姪であるものの、だらしのない父(王弟)のおかげで王宮を追われ、母方の叔父(ろくでなし)のもとに身を寄せ貧乏生活を送っていた鳳琳は、すっかり男嫌いになってしまう。そんな彼女のもとに、王宮から官吏が訪ねてきて、短期の契約女王の話を持ちかける。報酬につられて女王業を始めた鳳琳は、女王の証である指輪をつけると夜は男好きの女神・妲姫に体を乗っ取られてしまうという生活が始まってしまい……

ドタバタ逆ハーレム中華ファンタジー、なんのかんので楽しかったです。

男嫌いのヒロインが、神との契約により「逆後宮」を形成せねばならない国の女王さま業を始めるお話。とはいっても、財政的に危機に瀕している国なので大規模な後宮を形成できるわけもなく、結局、シリーズを通して「後宮」にやってきたのは隣国の王族のみで、後は後宮には入っていないイケメン毒舌官吏や幼馴染ツンデレ(その他、参戦しそうで全く参戦しなかった他国のイケメン)が主に三人で鳳琳を取り合うという展開でした。男好きの妲姫に体を乗っ取られるお陰で、男嫌いの鳳琳にとっては気の抜けない毎日で、それをあの手この手(ときには男性陣も助力して)で交わすのが楽しかったです。
一方で、徐々に鳳琳と妲姫が友情を育んでいくのも楽しく、正直なところ個人的には男性陣とのアレコレより鳳琳と妲姫の絆の方が気になるといいますか、本筋はこっちでは?と思ってしまうというかでした。

わりとばんばん不思議要素は出て来て(なんせ妲姫は神様)、この宮廷人手不足も甚だしいな……と突っ込みたくなったりと結構読みながら忙しいというか、1巻で脱落しちゃう人はしちゃうだろうなぁというシリーズだったのですが、勢いで読ませてしまうところがあり、また、先代の女王さまの真意やらなんやらが明かされる3巻からぐっと面白くなった(ところで4巻は駆け足でしたが)ので、全体的には結構好みのお話でした。

逆転後宮物語(全4巻)
芝原歌織/明咲トウル
講談社X文庫ホワイトハート(2015.4)
amazon/honto/BOOKWALKER